
中部大学教授 PICK UP特別顧問
深谷圭助先生の教育コラムです。
これからの時代、子どもたちに求められる力は何でしょうか。
「英語力」「ICTスキル」など、さまざまな言葉が並びますが、その土台にあるのは「言葉の力」です。
言葉の力とは、単に漢字を書ける、意味を知っているということではありません。
言葉を使って考え、感じ、他者と関わる力のことです。
例えば、「やさしい」という言葉一つをとっても、「親切」「思いやり」「気遣い」など、似ているようで微妙に異なる表現があります。
こうした違いを理解できる子どもは、相手の気持ちをより深く想像することができます。
一方で、言葉を十分に持たない場合、気持ちをうまく表現できず、誤解やトラブルにつながることもあります。
これは学力の問題というより、人間関係の問題です。
では、どうすれば言葉の力は育つのでしょうか。
その鍵の一つが「丁寧に言葉と出会うこと」です。
速く、多くの情報を処理することが重視されがちな時代ですが、子どもの学びにおいては「ゆっくり」が重要です。
言葉の意味を調べ、その例文を読み、自分なりに使ってみる。
このプロセスを大切にすることで、言葉は単なる知識ではなく「自分のもの」になります。
ここで、紙の辞書や本の存在が大きな意味を持ちます。
ページをめくる時間、目で追う時間、考える余白。
こうした「間」が、思考を深めてくれるのです。
保護者の方にぜひお願いしたいのは、「早く答えを教える」ことを少し控えてみることです。
「どういう意味だと思う?」「似た言葉はあるかな?」と問いかけることで、子どもは考え始めます。
これからの社会は、正解を早く出すだけでは乗り越えられません。
自分で考え、自分の言葉で表現できることが求められます。
その力は、日々の小さな言葉との出会いの中で育まれていくのです。
焦らず、ゆっくりと。
言葉を大切にする学びを、ご家庭から始めてみてください。